急性ストレス反応(Acute Stress Reaction)
急性ストレス障害(Acute Stress Disorder)とも呼ばれます。自分や他人の生命や安全に対する重大な脅威(例えば、肉親との死別、愛する人との死別、自然災害、火災、暴行、脅迫)を、実際に体験したり、目撃したりすると、強い恐怖感や無力感、呆然自失感を体験することがあります。このような体験の後(または最中)に、感情が麻痺した感覚を覚える、周囲に対して注意がむけられなくなる、現実感がなくなる、体験の重要な側面を思い出せなくなる、体験について夢やイメージ、錯覚、フラッシュバック(まさにその体験がおこっているような感覚)などで再体験をする、体験を思い出させるような事物を見聞きした際に苦痛を感じる、体験を思い出させるような事物を回避する、睡眠が乱れる、イライラする、集中できない、過度に警戒してしまう、などの症状が認められると、急性ストレス反応と呼ばれる状態の可能性があります。
急性ストレス反応の場合、このような症状は数日以内に消失することもあり、おおむね1ヶ月ほどで回復すると言われています。
診断基準(DSM-W)
- その人は、以下の2つがともに認められる外傷性の出来事に暴露されたことがある。
- 実際にまたは危うく死ぬまたは重傷を負うような出来事を、1度または数度、あるいは自分または他人の身体の保全に迫る危険を、その人が体験し、目撃し、または直面した。
- その人の反応は強い恐怖、無力感または戦慄に関するものである
- 苦痛な出来事を体験している間、またはその後に、以下の解離性症状の3つ(またはそれ以上)がある。
- 麻痺した、孤立した、または感情反応がないという主観的感覚
- 自分の周囲に対する減弱(例:“ぼうっとしている”)
- 現実感消失
- 離人症
- 解離性健忘(すなわち、外相の重要な側面の想起不能)
- 外傷的な出来事は、少なくとも以下の1つの形で再体験され続けている:反復する心像、思考、夢、錯覚、フラッシュバックのエピソード、またはもとの体験を再体験する感覚:または、外傷的な出来事を想起させるものに暴露されたときの苦痛。
- 外傷を想起させる刺激(例:思考、感情、会話、活動、場所、人物)の著しい回避
- 強い不安症状または覚醒の亢進(例:睡眠障害、いらだたしさ、集中困難、過度の警戒心、過剰な驚愕反応、運動性不安)
- その障害は、臨床上著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている、または外傷的な体験を家族に話すことで必要な助けを得たり、人的資源を動員するなど、必要な課題を遂行する能力を傷害している。
- その障害は、最低2日間、最大4時間持続し、外傷的出来事の4週間以内に起こっている。
- 障害は、物質(例:乱用薬物、投薬)または一般身体疾患の直接的な生理学的作用によるものではなく、短期精神病性障害ではうまく説明されず、すでに存在していたT軸またはU軸の障害の単なる悪化でもない。
外傷後ストレス障害(Post-traumatic Stress Disorder)
いわゆるPTSDと呼ばれる障害です。大きな自然災害や事故、事件が起こった後に、しばしば耳にする言葉ではないでしょうか。このように、PTSDを引き起こす外傷体験は、基本的に急性ストレス反応を引き起こすような体験と同じです。同じような体験をするのですが、その後の症状の現れ方が、PTSDと急性ストレス反応では、若干ですが異なってきます。
PTSDの場合、症状はしばしば数週間後に現れることがあります(ただし6ヶ月以内)。そして、急性ストレス反応の場合、短期的に終息していくことが多いのに対して、PTSDでは少なくとも1ヶ月以上、症状が持続されます。
症状の内容自体は、急性ストレス反応と大きくは変わりません。ただし、PTSDの場合、大切な活動に参加できなくなったり(興味がなくなったり)、感情経験が小さくなるなど、全般的な反応性が低下してしまうことがあります。
診断基準(DSM-W)
- その人は、以下の2つがともに認められる外傷性の出来事に暴露されたことがある。
- 実際にまたは危うく死ぬまたは重傷を負うような出来事を、1度または数度、あるいは自分または他人の身体の保全に迫る危険を、その人が体験し、目撃し、または直面した。
- その人の反応は強い恐怖、無力感または戦慄に関するものである。
注:子供の場合はむしろ、まとまりのないまたは興奮した行動によって表現されることがある。 - 外傷的な出来事が以下の1つ(またはそれ以上)の形で再体験され続けている。
- 出来事の反復的、侵入的、かつ苦痛な想起でそれは心像、思考、または知覚を含む。
注:小さい子供の場合、外傷の主題または側面を表現する遊びを繰り返すことがある。 - 出来事についての反復的で苦痛な夢
注:子供の場合は、はっきりとした内容のない恐ろしい夢であることがある。 - 外傷的な出来事が再び起こっているかのように行動したり、感じたりする(その体験を再体験する感覚、錯覚、幻覚、および解離性フラッシュバックのエピソードを含む、また、覚醒時または中毒時に起こるものを含む)。
注:小さい子供の場合、外傷特異的なことの再演が行われることがある。 - 外傷的出来事の1つの側面を象徴し、または類似している内的または外的きっかけに暴露された場合に生じる、強い心理的苦痛
- 外傷的出来事の1つの側面を象徴し、または類似している内的または外的きっかけに暴露された場合の生理学的反応性
- 以下の3つ(またはそれ以上)によって示される、(外傷以前には存在していなかった)外傷と関連した刺激の持続的回避と、全般的反応性の麻痺:
- 外傷と関連した思考、感情、または会話を回避しようとする努力
- 外傷を想起させる活動、場所または人物を避けようとする努力
- 外傷の重要な側面の想起不能
- 重要な活動への関心または参加の著しい減退
- 他の人から孤立している、または疎遠になっているという感覚
- 感情の範囲の縮小(例:愛の感情を持つことができない)
- 未来が短縮した感覚(例:仕事、結婚、子供、または正常な寿命を期待しない)
- (外傷以前には存在していなかった)持続的な覚醒亢進症状で、以下の2つ(またはそれ以上)によって示される。
- 入眠、または睡眠維持の困難
- いらだたしさまたは怒りの爆発
- 集中困難
- 過度の警戒心
- 過剰な驚愕反応
- 障害(基準B、C、およびDの症状)の持続期間が1ヶ月以上。
- 障害は、臨床上著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
