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こころの病気のはなし > 専門編 >気分変調性障害(気分変調症)

ほぼ1日中持続する抑うつ気分が長期間続く慢性疾患です。この病気の特徴は、社会や家庭への不適応感や罪責感、さまざまな刺激への過敏性、人や社会への怒り、社会からのひきこもり、興味の喪失、疲れやすさや活力の減退、生産性の欠如です。

Dysthymiaとは不機嫌を意味することばです。米国の分類では、気分変調性障害といい、WHOの分類では、気分変調症といいます。 以前から、日本では抑うつ神経症といわれていた病気で、神経症性うつ病とも言われていました。

うつ病(大うつ病性障害 major depressive disorder)とは極めてよく似た病気ですが、「常時落ち込んでいる」という訴えや症状、より軽症で、より長い経過をたどる点で、うつ病と区別することができます。また、最初うつ病として病院で取り扱われる場合も意外に多く、その経過が長く、軽症であるために、通院中に診断名が、うつ病から気分変調症に切り替えられることもしばしばです。

長期のストレスまたは突然の喪失を体験したことのある人に、より多く生じ、始まりがあまりはっきりしない形(潜行性)で発症しますので、発症から通院までの期間がまちまちです。発症してから10年以上経過してからはじめて、病院にこられる患者さんも多いです。一部の患者さんは、症状自体を人生の一部として捉えておられることも少なくありません。

男性より女性にやや多く、21歳以前に始まる早期発症型は少なく、一般には20−35歳の間に発症します。うつ病の第一度近親(親、子、兄弟姉妹、二卵性双生児など、遺伝子を半分共有している方)に多く見られます。

 

症 状

  1. 食欲不振または過食
  2. 睡眠困難
  3. 倦怠感
  4. 自尊心低下
  5. 集中困難あるいは決断困難
  6. 絶望感

のうち、少なくとも2つの症状を呈します。 これらの症状が、ほぼ毎日、途中で普通の気分の期間があっても、2年以上続きます。症状は1日のなかでも後半に悪化する傾向があります。

大うつ病の場合、症状は客観的であるのに対して、気分変調症の場合、症状はより主観的であり、食欲や性欲の減退や、焦燥感や精神運動制止は認めにくいという特徴があります。

日常的な憂うつ、くよくよと気にやむこと、生活上の喜びの欠如、不適切な思い込みが見られるとき、これらの特徴が他の精神疾患では説明できない場合は、気分変調症であると考えるべきです。

 

疫 学

一般人口の5−6%が罹患します。一般精神科診療所の患者全体の2分の1から3分の1を占めています。未婚の若者や低所得層に多く見られます。大うつ病のうち、完全寛解を示さないタイプと合併しやすく、不安障害特にパニック障害や強迫性障害、物質乱用、境界性人格障害、のような他の精神疾患と併発することも多いです。

小児の気分変調症患者の長期経過をフォローアップした研究によれば、病気が完全に治る場合もあり、また、再燃する場合、途中で大うつ病が発症する場合もあることがわかりました。20%近くは、躁病、軽躁病の症状を思春期におこす可能性も指摘されています。

20%は大うつ病に、15%は双極II型障害に、5%以下は双極I型障害に罹患します。  治療を受けてから1年以内に治る方は10%くらいです。25%の方は治療を受けても治らないといわれていますが、治療を受けたほうが圧倒的に症状は改善し、治療によって症状は軽くなります。

 

原 因

うつ病と気分変調症の生物科学的な研究成果では、病因が同じであるという意見と、異なるという意見の両論があり、まだ、はっきりわかっておりません。うつ病では、副腎系の抑制が観察されますが、気分変調性障害ではこの異常は少ないです。また、気分変調症では、甲状腺系の異常の出る割合は多いです。しかし、睡眠時の脳波の特徴はうつ病と極似しており、抗うつ剤が奏功することを示しています。  精神分析理論によれば、人格や自我発達の結果としてこの疾患が発症すると考えられています。過度な規則正しさ、罪責感、他者への気遣い、低い自尊心、快楽消失、内省好きなどの性格形成との関連が指摘されています。  認知療法理論では、現実と理想の落差が自尊心を傷つけ無力感につながると仮定しています。

 

治 療

薬物療法も心理療法も、うつ病の治療と同様の方法で行われますので、詳しくは、うつ病のページをご覧ください。

症状が軽いわりには、薬物への反応性が悪いのが、この疾患の特徴で、8週間以上にわたり最大量の抗うつ薬を使用しても、まったく無効の場合もしばしばあります。したがって、うつ病に対する標準的な薬物療法に加えて、リチウムやサイロニンの増強療法や三環系抗うつ薬などの使用が検討されます。

心理療法の場合、患者さん御自身についてや、世の中や将来についての誤った否定的な姿勢を改めたり、自尊心を高めたり、家族の交流の改善や、現在起こっている問題に対する解決法を一緒に考えたり、活動性を増して楽しい経験をし、リラックス法を覚えるなどを治療の目標にします。小児期に感じた喪失感や失望、そのころの問題解決法や感情について、再考して、過去を整理することが必要な場合もあります。

入院治療を要するケースは稀です。

 

診断基準

DSM-W-TR ICD-10
コード番号300.4
気分変調性障害(dysthymic disorder)
コード番号F34.1
気分変調症 Dysthymia

次のA.〜C.のうち、基本症状であるA.を満たすことを必須として、抑うつ状態の期間において、B.のうち少なくとも2つの症状と併せて合計3つ以上の症状に該当し、且つC.を満たす場合に、気分変調性障害と診断されます。

  1.  抑うつ気分がほぼ1日中存在する。期間を通して抑うつ気分を感じる日の方が感じない日よりも多い。自覚症状としての抑うつ気分、また他者の観察による抑うつ気分が、成人では少なくとも2年間、幼年・少年・青年期では少なくとも1年間ある。青年期までの症状においてはいらいら感のこともある。

 B.

  1. 食欲減退もしくは過食
  2. 不眠もしくは過眠
  3. 気力の低下、または疲労
  4. 自尊心の低下
  5. 集中力低下、または決断困難
  6. 絶望感


  1. この障害の2年の期間中(小児や青年については一年間)において、一度に2ヶ月を超える期間、基準AおよびBの症状が消えたことはない。
  2. この障害の最初の2年間は(小児や青年については一年間)、大うつ病エピソードが存在したことはない。すなわち、この障害は、大うつ病性障害、慢性、あるいは、大うつ病性障害、部分寛解、ではうまく説明されない。
  3. 躁病エピソード、混合性エピソード、あるいは軽躁病エピソードがあったことはなく、また気分循環性障害の基準を満たしたこともない。
  4. 障害は統合失調症や妄想障害のような慢性の精神病性障害の経過中にのみ起こるわけではない。
  5. 乱用薬物や投薬などの物質の直接的な生理学的作用や,一般身体疾患(甲状腺機能低下症など)による症状ではない。
  6. 症状が臨床的に著しい苦痛または、社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を起こしている。
  1. 持続的な抑うつ気分、または絶え間なく繰り返す抑うつ気分の期間を、少なくとも2年の間認めること。正常な気分が間にあっても、その期間が2−3週間を超えることは稀で、軽躁病のエピソードもない。
  2. この2年間の個々のうつ病エピソードは、反復性うつ病性障害の軽症うつ病エピソード(F33.0)の診断基準を満たす程に重症であったり、持続することはほとんどないか、まったくない。
  3. いくつかの抑うつ的である期間に、次に示すもののうち、少なくとも3項が存在する。
  1. 活力や活動性の減退
  2. 不眠症
  3. 自信喪失、または、力量不足の感じ
  4. 集中困難
  5. しばしば涙ぐむ
  6. 性的なことや他の楽しい活動に対する興味や喜びの喪失
  7. 絶望感、失望感
  8. 毎日の生活の決まりきった責任を果たすのに現れる無力さ
  9. 将来についての悲観や、過去へのこだわり
  10. 社会的引きこもり
  11. 通常より寡黙

 

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